東尋坊の海に男性遺体が見つかった拉致監禁事件について弁護士が法律的に解説します

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1 事件の概要

知人の男性を車のトランクに監禁したとして、滋賀県警は、10月19日に39歳の男性と17~19歳の少年6人を逮捕しました。知人の男性は同月19日の朝、福井県坂井市の東尋坊の海に浮かび、死亡した状態で発見されました。遺体には複数の外傷がありました。

この事件は法律的にはどのようになるのでしょうか。以下、解説していきますね。

2 法律的にどうなる?

(1)拉致監禁する行為

被害者を車のトランクに監禁する行為は、監禁罪(刑法220条)にあたります。条文を確認しておきましょう。

第220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

「監禁」とは、一定の場所から脱出できなくすることをいいます。車のトランクに閉じ込める行為は被害者をトランクから脱出できなくする行為ですので、「監禁」にあたるというわけです。

3カ月以上7年以下の懲役ということで、監禁罪で有罪となった場合には、その間刑務所で所定の作業をしなければなりません。

(2)被害者が死亡している点について

今回の事件では、被害者の遺体で東尋坊の海にて発見されました。監禁後どういう経緯をたどって被害者が死亡したのかが明らかでないため、場合分けをして考える必要があります。

加害者が殺害の意図を持って殺した場合

たとえば、加害者らが被害者を殺すつもりで金属バットで頭部を力強く殴るなど、加害者が殺害意図を持って殺害の危険のある行為をした結果として被害者が死亡した場合には、加害者らには殺人罪(刑法199条)が成立します。

第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

結果的に死亡させてしまったにとどまる場合

たとえば、被害者を車のトランクに監禁した後に他の車が追突し、被害者が死亡した場合や、監禁するために暴行をしていたところ被害者が死亡してしまった場合には、加害者らには監禁致死罪(刑法221条)が成立します。

第221条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
傷害の罪と比較して、重い刑により処断すると書いてありますが、この場合には傷害致死罪と同じ3年以上の懲役が科されることになります。

(3)死体遺棄行為

死体が勝手に海に移動することは考え難いので、加害者らが死体を海に捨てたと考えるのが素直です。そうだったとすると、加害者らには死体遺棄罪(刑法190条)が成立します。
第190条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
「遺棄」とは、場所的に移動させてから捨てたり、隠したりすることをいいます。加害者らが海に死体を捨てたのだとすると、場所的に移動させてから捨てたことになりますので、「遺棄」にあたります。

(4)成立する犯罪のまとめ

結論的には、加害者らに成立する犯罪については以下の通りになります。
加害者らが殺害の意図を持って殺した場合殺人罪
監禁罪
死体遺棄罪
結果的に死亡させてしまったにとどまる場合監禁致死罪
死体遺棄罪

ただし、加害者らの中には殺害には関与していない者がいる可能性もあります。そのような者であっても、見張り役を買って出たなど殺人を手助けしたといえる場合には、殺人罪のほう助罪(199条、62条)が成立することになります。

(5)逮捕後の手続きはどうなる?

加害者らのうち、39歳の男性については、勾留→起訴→刑事裁判という通常の流れをたどることになるでしょう。そして、今回の事件では、証拠がしっかりと揃っていれば、刑事裁判で有罪判決が下され刑務所に入ることになるでしょう。

他方で、17歳から19歳の少年らについては、勾留→家庭裁判所→少年審判というように少年法のルールに従って手続きが進みます。そして、証拠がしっかりと揃っていれば、少年審判で保護処分が下され少年院等に入ることになるという結論が予想されます。

(6)追記

司法解剖の結果、被害者の死因は脳挫滅だったことが明らかにされたようです。生きたまま約20メートルのがけから転落し、岩に頭を打ち付けて即死したと考えられています。加害者らが崖から落としたのであれば、殺人罪が適用されるでしょう。

kubota
以上が今回の事件の法律的な解説です。現在わかっている情報で解説しましたので、また何かわかり次第追記したいと思います。