えらてんvs立花孝志の少額訴訟についての見通しについて解説します

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1 事案の概要

立花孝志氏のYouTubeチャンネルの「こちらの弁護士が~謝罪がなければ提訴します」というタイトルの動画において、えらてん氏、宏洋氏、みずにゃん氏の3人に対して「場合によっては名誉毀損であるとか、信用毀損罪というものもありますから事前に警告をさせていただきます」と述べたことに対して、えらてんさんが2019年11月18日に東京簡易裁判所に少額訴訟を提起しました。

2 えらてん氏の主張

上記動画内の訴状の内容(11分10秒あたりから。)からすると、えらてん氏は、立花氏の動画内の発言によって自身の名誉が傷つけられたことを理由として損害賠償請求を主張しているようです。これは、法的には、不法行為(民法709条)に基づき損害賠償を請求していることになります。

えらてん氏は立花氏の「場合によっては名誉毀損であるとか、信用毀損罪というものもありますから事前に警告をさせていただきます」という発言について、この部分が脅迫罪または名誉毀損罪を構成する違法な行為であるとしています。

3 訴訟の見通し

この訴訟の行方は一体どのようになるのでしょうか。

立花氏がしっかりと弁護士をつけて反論するという前提であれば、現状、私は立花氏に軍配があがるのではないかと考えています。以下、その理由を説明します。

立花氏の発言は、えらてん氏が犯罪行為をしている可能性があり、それに対して法的対抗措置をとりうることを示唆する内容となっています。このうち、犯罪行為をしている可能性を指摘した点については、これによって社会的評価が下がると評価される場合もあります。そのように評価された場合には、立花氏の発言はえらてん氏への名誉毀損を構成します。

もっとも、立花氏が真実性の証明に成功すれば、立花氏は責任を免れることになります。立花氏の発言内容は法的な見解を述べるものですので、意見の真実性を証明することは難しいことから、以下の要件を満たす場合に責任を免れることになります。

①「その行為が公共の利害に関する事実に係」ること(事実の公共性)
②「もっぱら公益を図る目的」であったこと(目的の公益性)
③「意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明」がされたこと(前提事実の真実性の証明)
④「意見ないし論評としての域を逸脱したものでない」こと

今回のケースでは、人の犯罪行為に関する発言ですので、①公共の利害に関することだといえます。また、犯罪行為についての注意喚起を図る目的は否定できませんので、②公益目的という要件も満たすといえるでしょう。さらに、今回の立花氏の発言が③意見ないし論評としての域を逸脱しているということはできません。

というわけで、③前提事実の真実性の証明ができるかどうかが判断の分かれ目となります。そもそも、立花氏が名誉毀損や信用毀損罪についての指摘をしたのは、立花氏のマツコデラックス氏に対する訴訟構想について、えらてん氏が「立花のマツコデラックスさんの訴訟に参加すると賠償金【50万円】(ばいしょうきん)を払うことになります」というタイトルの動画や「N国党・立花は裁判で勝ったことがない」というタイトルの動画を公開したことに起因します。立花氏としては、これらの動画でのえらてん氏の発言を抜き出し、名誉毀損などを構成しうることを主張・立証していけばよいということになります。そして、そうした主張・立証自体はそこまで難易度の高いものではないと考えています。

以上より、立花氏の発言はえらてん氏の社会的評価を下げるものではない、または立花氏による意見・論評の抗弁が成立することにより、立花氏が勝訴するのではないかというのが今回の訴訟の見通しです。

名誉毀損についての詳しい解説が見たい方は以下の記事をご参照ください。

民事上の名誉毀損とは? 慰謝料の金額はどれくらい?弁護士が詳しく解説します