【ワンピース】ルフィとコビーが海軍基地の塀によじ登ったことは犯罪となるか?【第3話】

1 問題のシーン

海軍に入るというコビーの小さい頃からの夢を追って、海軍基地の町にたどり着いたルフィとコビーは海軍基地の塀の前までやってきます。

(出典:「ONEPIECE」尾田栄一郎・集英社・第1巻88頁~89頁より)

今回問題となるのは、ルフィとコビーが海軍基地の塀をよじ登る行為に犯罪が成立するかどうかです。

2 犯罪が成立するか?

塀をよじ登る行為について問題となるのは、建造物侵入罪(刑法130条)です。

刑法第130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

ルフィとコビーは少なくともこの段階では塀をよじ登っただけで、基地内部には入っていません。このような場合にも建造物侵入罪が成立するのでしょうか。

実は、建造物侵入罪にいう建造物とは、建物自体だけでなくその囲繞地も含まれると解釈されています。囲繞地というのは、建物に接してその周辺に存在する付属地をいいます。要するに、家の庭や校庭などの塀に囲まれた部分ですね。

最高裁平成21年7月13日
被告人は,交通違反等の取締りに当たる捜査車両の車種やナンバーを把握するため,大阪府八尾市所在の大阪府八尾警察署東側塀(以下「本件塀」という。)の上によじ上り,塀の上部に立って,同警察署の中庭を見ていたところ,これを現認した警察官に現行犯逮捕された。
大阪府八尾警察署は,敷地の南西側にL字型の庁舎建物が,敷地の東側と北側に塀が設置され,それらの塀と庁舎建物により囲まれた中庭は,関係車両の出入りなどに利用され,車庫等が設置されている。同警察署への出入口は複数あるが,南側の庁舎正面出入口以外は施錠などにより外部からの立入りが制限されており,正面出入口からの入庁者についても,執務時間中職員が受付業務に従事しているほか,入庁者の動静を注視する態勢が執られ,庁舎建物から中庭への出入りを制限する掲示がある。

本件塀は,高さ約2.4m,幅約22cmのコンクリート製で,本件庁舎建物及び中庭への外部からの交通を制限し,みだりに立入りすることを禁止するために設置されており,塀の外側から内部をのぞき見ることもできない構造となっている。
以上の事実関係によれば,本件塀は,本件庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに,外部からの干渉を排除する作用を果たしており,正に本件庁舎建物の利用のために供されている工作物であって,刑法130条にいう「建造物」の一部を構成するものとして,建造物侵入罪の客体に当たると解するのが相当であり,外部から見ることのできない敷地に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部へ上がった行為について,建造物侵入罪の成立を認めた原判断は正当である。

今回の海軍基地の塀も上記判例の警察署と同様に基地内への立入りを禁止するために設置されており、塀の外側から内部をのぞき見ることもできない構造となっています。そのため、海軍基地の塀も「建造物」の一部であり、これによじ登ったルフィとコビーには建造物侵入罪が成立します。

3 どれくらいの刑罰になる?

建造物侵入罪には、3年以下の懲役か10万円以下の罰金という刑罰が定められています。仮にルフィとコビーに前科・前歴がなかったとすると、執行猶予がつく可能性が高いと思われます。

刑法第25条1項 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

執行猶予期間中にさらに犯罪行為をしなければ、刑の言い渡しが効力を失うので、刑罰を受けなくてすみます。

kubota
いたずらでも塀にのぼるのはやめましょうね。