任意整理とは? 任意整理をするとどうなるの? 弁護士がわかりやすく解説します

1 任意整理とは

任意整理とは、直接に金融業者等と交渉をする手続きです。すべての借金がなくなるということではありませんが、借金を減らしたり、利息や遅延損害金を免除してもらいます。

任意整理は業者等と話し合いをする手続きですので、法律上の要件が備わらないとできないというものではありません。また、任意整理の進め方についてもルールがあるわけではありません。話し合いをして、業者との間で、借金を減らしたり、利息や遅延損害金を免除してもらいますという内容の合意をすることで、実際に借金が減ったりするという仕組みです。

2 任意整理をするとどうなる?

(1)借金が合意した内容に減る

業者等との交渉に成功した場合、借金額が業者等と合意をした内容にまで減ります。たとえば、消費者金融A社に300万円の借金があった場合に、それを250万円とすることへの合意があれば、A社からの借金額は250万円となります。もっとも、現実には業者が借金額の減額に応じるケースは多いとはいえません。そのため、交渉内容としては、利息・遅延損害金の免除と毎月の支払額の減額が中心となります。

このように記載すると「なんだ…利息や遅延損害金だけか…」とがっかりされる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、利息や遅延損害金をあなどることはできません。次の例をみてください。

Aさん 借金額  50万円  利率18% 月々返済額1万円
Bさん 借金額 100万円  利率15% 月々返済額3万円

AさんとBさんが毎月決められた返済額を払い続けたとして、最終的にそれぞれいくら支払うことになると思いますか?

答え
Aさん 約90万円(約7年半払い続けることになります)

Bさん 約130万円(約3年半払い続けることになります)

利息だけでこれだけ支払総額が増えることになるのです。また、月々の返済額についても、たとえば100万円を1年間で返済する場合には月々約8万3000円を支払わなければならないのに対して、5年間で返済する場合には月々約1万6000円で済みます。このように、利息・遅延損害金や月々の返済額を交渉により調整することで、借金の返済と生活を両立させていくことが可能となります。

(2)ブラックリストへの掲載

任意整理をすると、信用機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに掲載されるのです。その結果、借り入れができない、クレジットカードの審査に通らない、住宅や車のローンが利用できない、携帯電話の購入の際に分割払いを選べないなどの制限が生じます。基本的に現金での生活になるというイメージですね。5年から10年経つと事故情報が抹消されますので、再びローンを組んだり、クレジットカードの審査に通ることができるようになります。ちなみに、日本の信用機関は①全国銀行個人信用情報センター、②株式会社日本信用情報機構、③株式会社 シー・アイ・シーの3つです。

3 任意整理の流れ

任意整理のおおまかな流れは以下の通りです。

任意整理について弁護士に相談し、「この弁護士にお願いしたい」と思えば依頼をします。
依頼を受けた弁護士は、業者等に対して受任通知を送付します。これにより業者等からの手紙や電話などの督促がストップします。
取引履歴等の資料を取り寄せ、借入残額を確定し、業者等との間で交渉を進めます。
交渉がうまく進み、借金額や毎月の支払額などについて合意ができた場合には、和解書や合意書などを作成します。

(1)弁護士に相談・依頼

任意整理は基本的には弁護士に依頼することになります。なぜなら、業者等との交渉を自力でしようとしても、なかなか応じてくれないことのほうが多いからです。普通に考えても、借金をした人から「利息免除してください」と言われても、お金を貸した側の人からすれば「借りるときは全部借りるって約束したやん…」となりますよね。そこで、法律の専門家である弁護士に依頼をし、弁護士を間に挟むことで、交渉がスムーズに進むようにします

(2)受任通知

依頼を受けた弁護士は、業者等に対して「依頼を受けましたよ」という内容の通知を送ります。この通知をすることによって、業者等の取り立てがストップします。その根拠については、貸金業法に定めがあります。

21条1項 貸金業を営む又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権取立てについて貸金業を営むその他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権取立てをするに当たつて、威迫し、又は次に掲げる言動その他のの私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない
9号 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

この条文は、弁護士等に任意整理を依頼した際にも適用されますので、業者は、弁護士等から受任通知を受けた後は、電話・FAX・訪問といった方法での取り立てができなくなります。厳しい取り立てに頭を抱えている人にとっては、受任通知により取り立てがとまることは非常に大きなメリットです。

(3)資料集め・交渉

弁護士は、業者等から取引履歴等の資料を取り寄せて、実際に借金の額がいくらなのかを計算します。この際、通常は、過払い金があるか、消滅時効にかかっていないかなどのチェックも同時におこないます。実際の借金額がわかれば、業者等との交渉をスタートします。業者等に書面を送ったり、弁護士と業者等とが電話で話をするといった方法で進めていくことが多いです。

 消滅時効 お金を貸した人は借りた人に対してお金を返してもらう権利がありますが、このように人に対して給付を求める権利がある人が、その権利を一定期間放っておいた場合に、その権利が消滅するという制度のことです。

(4)和解成立・不成立

うまく話がまとまれば、和解成立ということで、まとまった内容を「和解書」「合意書」などの書面に落とし込みます。逆に、うまく話がまとまらなかった場合には、自己破産などの他の債務整理の方法も検討することになります。

業者等が利息や遅延損害金の免除や月々の支払額の調整などの交渉に応じることが多いのは次の理由があるからです。すなわち、お金を借りた人の返済がままならないような場合に業者等が交渉を断ったとすると、借りた人の借金の返済が不可能になり、借りた人が自己破産をする可能性があります。業者等としては、借りた人に自己破産をされてしまうと、貸したお金が返ってこないということで大きな損失を受けてしまいます。そのため、「自己破産されるよりは交渉に応じたほうがいい」と考えるわけです。

4 どんな人が任意整理をするべき?

ある程度安定した収入がある

任意整理をしても借金がなくなるわけではありませんので、返済をしていくだけのある程度の収入が必要となります。安定した収入はあるけど、月々の返済額が多くて返済に困っているという人には任意整理がおすすめです。

銀行系の大手消費者金融業者からの借入れが中心

任意整理での交渉に応じるかどうかは、お金を貸している人によります。一般的な傾向でいえば、銀行系の大手消費者金融業者は任意整理での交渉に応じてくれやすいです。任意整理を依頼したけど結果がどうなるかの見通しが立たないというのは非常に不安ですので、交渉に応じやすい銀行系の大手消費者金融業者からの借入れが中心の人のほうが、任意整理を選びやすい状況にあります。特に、リボ払いなどの利息に困っているような方は任意整理がおすすめです。

借金の整理をしたことを周りの人に知られたくない

任意整理は交渉相手となる業者等を除いて、基本的には誰にも知られずに進めることのできる手続きです。家族や勤務先にも知られずに進めることができます。これに対して、自己破産では、官報という政府発行の新聞に載ることで、周りの人に知られる可能性は否定しきれません。そのため、借金の整理をしたことを周りの人に知られたくない人には任意整理がおすすめです。

財産を手放したくない

任意整理では自分の持っている財産を手放す必要がありません。これに対して、自己破産では、高価な財産は手放さなければなりませんので、家や車などの財産を手放したくないという人には任意整理がおすすめです。

5 さいごに

この記事を読んでいらっしゃる方の多くは借金で悩んでいらっしゃる方だと思います。そもそも自己破産や任意整理といった借金の整理をするのかどうか、自己破産と任意整理のどちらにするのか、任意整理をするとどうなってしまうのか、本当に借金は減るのかなど悩みは尽きないと思います。一人で悩んでいると余計に悩みがどんどん膨れ上がることもあります。そんなときは、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。