YouTuberのための法律講座 第3章 ゲーム実況編

0 動画で解説をみる

1 ゲーム実況とは

ゲーム実況とは、テレビゲームやパソコンゲームなどをプレイする様子を動画化したものです。これを細分化すると、プレイヤーの実況があるものとないもの、顔出しのあるものとないもの、スーパープレイを見せるものと初見プレイを見せるものなど、多様性がみられます。

ゲーム実況系の動画としては、たとえばこんな動画が挙げられます。

#1【アクション】弟者,兄者の「スーパーバニーマン」【2BRO.】
(兄者弟者)
https://www.youtube.com/watch?v=1F7nqeQnYTY

ゲーム実況系のメリットとしては、ゲームをやっているだけで目まぐるしく画面が変わるため、リアクションの機会が多く、視聴者に飽きられにくい点にあります。そのため、動画の再生時間も長い傾向にあります。実写系の動画の場合、自分たちでリアクションの機会をつくらなければ単調な動画になりやすく、動画を見ている視聴者も飽きてしまいがちなのです。また、必ずしも顔出しをする必要がないというのもメリットの一つでしょう。YouTuberになりたいけど、様々なリスクを考えると顔出しはしたくないといった方でも、気軽にはじめることができるからです。

ゲーム実況のデメリットはそのイメージにあります。一般の方の中にはゲーム実況はグレーな業界だと認識されている方が少なからずいらっしゃいますし、専業でゲーム実況動画をつくって生計を立てていると、「楽して儲けやがって」とねたまれることもありますただし、eスポーツの発展に伴って、ゲーム実況者のイメージも少しずつ改善されている傾向にあります。そんなゲーム実況ですので、自らイメージを悪くしないためにも、法律に違反しない動画をつくる必要があります。そんなわけで、ゲーム実況動画をつくるときに気をつけたい法律を学んでいきましょう。

2 ゲーム実況動画をつくるときに気をつけたい法律・条例

<特に気をつけたい法律>
著作権法

(1)ゲームと著作権

ゲームソフトについては、基本的に、映画の著作権として著作権法上の保護を受けています。

著作権法
(著作物の例示)
第10条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
七 映画の著作物

著作権法において保護される権利には、著作物そのものを保護する著作権と著作物を広める段階を保護する著作隣接権とがあります。ゲーム実況動画をアップロードすることは、著作者の得るべき利益を不当に奪いますし、また、著作物を広める役割を担う人らの予定していない形でゲームの内容等を公開してしまうことから、原則として著作権や著作隣接権を侵害する行為だといえます。具体的には、以下の権利を害することになります。

著作権法
(複製権)
第21条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(公衆送信権等)
第23条1項 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

それでは、ゲーム実況動画はすべて違法ということなのでしょうか。もう少し見ていきましょう。

(2)すべてが著作権法に違反するというわけではない

みなさんも大方予想がついていると思いますが、ゲーム実況動画のすべてが違法ということはありません。ゲームの製作会社がゲーム実況動画を公式に認めている場合には、ゲーム実況動画を適法にアップロードすることができるのです。たとえば、ドラゴンクエスト11(株式会社スクウェア・エニックス)は、以下の条件の下でのゲーム実況動画のアップロードを認めています。

【 利用条件 】
 掲載・配信に際して、著作権者の表示明記してください。
掲載例)
(C)2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
(C)SUGIYAMA KOBO
※PlayStation®4のシェア機能利用時には自動的に上記の著作権者の表示が明記されますので、ご自身での記載は不要です。
 ゲームシナリオに大きく関わるシーンの配信の場合には、これからプレイされる方の楽しみを奪わないよう、自主的に「ネタバレあり」の表記をお願いいたします。
 PlayStation®4版『ドラゴンクエストXI』で録画禁止区間に設定されている部分の、生配信、動画・画像の投稿は禁止いたします。
 ムービーシーンのみを見せることを目的として編集された動画や、再生リストの作成は禁止いたします。
 公開した内容の二次利用は行わないでください。
例)公開した内容をまとめて冊子などの別の媒体での再配布は、有料・無料にかかわらずご遠慮ください。
 閲覧に対価が必要となるサイトおよびサービスを利用しての公開はご遠慮ください。
(但し、ニコニコ動画プレミアムサービスを除く)
 特定のプレイヤーの誹謗中傷につながる行為は行わないでください。
 理由の如何を問わず、弊社から依頼があった場合には、遅滞なく画像・動画の掲載を中止してください。 また、弊社が不適切と判断した動画・放送については、削除させていただく場合があります。
 弊社は、インターネットでの画像・動画の掲載について、第三者の権利を侵害していないことを含め、いかなる保証もいたしません。また、当該画像・動画を利用された結果発生したいかなる損害または他のプレイヤーを含む第三者との紛争についても弊社は補償をいたしません。
引用元:http://www.dq11.jp/guideline/index.html

ちなみに、以前の話になりますが、実は私もドラゴンクエスト11のゲーム実況動画をアップロードしていました。なお、同ゲームのエンディングは過去のドラゴンクエスト作品との関係性が垣間見えてとても良かったです。

(3)放任している場合には注意

さきほどのドラゴンクエスト11のように、一定の条件の下ではありますが、ゲーム実況動画のアップロードを承認している場合もありますが、今でも多くのゲーム製作会社はゲーム実況動画のアップロードについて特段の対応をしておりません。すなわち、多くのゲーム製作会社はゲーム実況動画についての公式見解を示さず、ゲーム実況動画の削除申請等もおこなっていません。いわば、ゲーム実況動画を放任している状態です。

とあるゲーム製作会社がゲーム実況動画を放任している場合に、その会社が製作したゲームの実況動画をアップロードすることは法的なリスクを伴います。つまり、著作権侵害を理由とする刑事罰や民事責任は、ゲーム製作会社が告訴や民事訴訟の提起等の法的措置をとることで現実化しますが、放任の態度からから一変してそうした法的措置をとる可能性があるのです。ゲーム製作会社の承諾のない状況下でその会社のゲームの実況動画をアップロードすることは著作隣接権を侵害する行為ですので、法的措置をとられても文句を言える立場ではないということなのです。以下では、著作権等の侵害行為についての刑事罰をみておきましょう。

著作権法
第119条1項 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第30条第1項(第102条第1項において準用する場合を含む。第3項において同じ。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第113条第3項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第4項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第120条の2第3号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第113条第5項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第3号若しくは第4号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第123条 第119条、第120条の2第3号及び第4号、第121条の2並びに前条第1項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

つまり、著作権等を侵害した場合には、10年以下の懲役と1000万円以下の罰金を併せて科されることがあります。ただし、この罪は親告罪であるため、権利者の告訴がなければ刑事裁判で有罪となることはありません

加えて、法的措置に限らず、動画共有サイト運営会社に対して著作権侵害を理由とする申立てがなされることで、動画が削除されたり、アカウントにペナルティがついたり、最悪の場合アカウントの停止や削除がなされる危険性もあります。

(4)ゲーム実況配信に関するおおまかな傾向

PS4やXboxOneに付属の動画配信機能を用いて動画配信を行う場合、ゲームソフト制作会社の著作権を気にする必要はありません。なぜなら、ゲームソフト制作会社はPS4等のハードに動画配信機能が付属していることは熟知しており、その機能を用いて動画配信することを許容しないのであれば、配信をできなくするなどの対応をするからです。実際にも、私がゲーム実況をおこなったPS4版ドラゴンクエスト11は、エンディングについては配信ができないという対応がとられていました。

動画配信機能のついていないハードのゲームソフトについては、個別に問い合わせて、ゲーム実況を認めている場合にのみゲーム実況動画の配信をおこなうのが無難です。

なお、2018年11月29日には、任天堂株式会社が営利目的以外のゲーム実況動画等で収益化をすることに対して、著作権侵害を主張しないという内容のガイドラインを公開しました(https://www.nintendo.co.jp/networkservice_guideline/ja/index.html)。これにより、任天堂のゲームに関しては安心してゲーム実況動画の配信を行うことができますね。

(5)ゲーム実況配信に関する各社の態度

2018年6月6日~同年7月22日にかけて現時点でのゲーム実況配信に関する各社の態度をメール及び電話で調査しましたので、一覧にしてまとめておきます。なお、今回は一般的な意味でゲーム実況の許否等の調査をおこなったので、表において回答不可となっている場合でも、個別のゲームについて問い合わせをすれば回答が得られる可能性があります。また、調査先会社はウィキペディアを参考に決定したので、漏れがある場合があります。

【問い合わせに対して何らかの回答があった会社】50音順

会社名ゲーム実況の許否対応の有無備考
B.Bスタジオ許容していない現時点で対応なし

今後の対応予定なし

Cygamesゲームごとに対応が異なるため、個別のゲームタイトルのホームページより問い合わせ
D4エンタープライズ回答不可
GEA回答不可
MAGES.PS4限定で許容
Rejet回答不可
SNK現時点での対応なし
アークシステムワークス許容していない現時点での対応あり(削除・訴訟)

今後の対応予定あり

社内で個別に協議の上、削除依頼などの対応をおこなう
アートディンク許容していない現時点での対応なし

今後の対応予定なし

二次利用はお断りしているが、特に対応はしていない
アイディアファクトリー許容していない現時点での対応あり(削除・訴訟)

今後の対応予定あり

ホームページに記載あり

法的手段をとることも

アイレムソフトウェアエンジニアリング現時点での対応なし

今後の対応予定なし

アクセスゲームズ回答不可
アスガルド許容していない現時点での対応あり(削除)

今後の対応予定あり(削除・訴訟)

YouTubeなどで発見次第削除依頼をおこなう
アルファドリーム回答不可
イマジニア許容している
ヴァルハラゲームスタジオ許容していない現時点での対応なし
エクサム許容しているホームページに記載あり

営利目的は禁止

エクスペリエンス許容していないホームページに記載あり
エレクトロニック・アーツ許容していないユーザー契約に記載あり
エンターグラム許容していない現時点での対応あり(削除・訴訟)著作権侵害が認められる場合には対応をおこなう
エコールソフトウェア許容している
オフィスクリエイト許容していない利用規約に記載あり
角川ゲームズ許容していない
カプコンPS4限定で許容しているPS4のポッドキャスト機能でのアップロードのみ許容
ガンホー・オンライン・エンターテイメント許容している営利が発生しない範囲でのみ許容
グランゼーラ許容している
グレフPS4限定で許容している対応なしPS4等のハードウェアのシステムで許諾された箇所以外のゲーム実況は認めていない
ゲームフリーク許容していないホームページに記載あり
ゲームロフト許容していない利用規約に記載あり
コナミデジタルエンターテイメント許容していない利用規約に記載あり
コンテライドソフトごとに異なるホームページに記載あり

体験版であれば許容

コンパイルハート許容していないホームページに記載あり

法的手段をとることも

サイバーコネクトツーPS4限定で許容しているPS4のポッドキャスト機能でのアップロードのみ許容
サン電子許容していないホームページに記載あり
システムソフト・アルファー許容している販売目的・営利目的でなければ許容している
シティコネクションホームページに二次利用ガイドライン記載あり

営利目的は禁止

ズー許容していない
スクウェア・エニックスソフトごとに異なる要問合せ
スターフィッシュ・エスディ許容している
スパイク・チュンソフト回答不可
ソニー・インタラクティブエンタテイメントPS4限定で許容しているPS4のポッドキャスト機能でのアップロードのみ許容
タカラトミーアーツ現時点での対応あり(削除)営利につながるものであれば削除依頼などの対応をおこなう
拓洋興業(TAKUYO)許容していないホームページのよくある質問に記載あり
ディースリー・パブリッシャーソフトごとに異なるゲームタイトルごとにホームページで告知
トライエースホームページに二次利用禁止の記載あり
日本一ソフトウェア許容していない現時点での対応あり(削除・訴訟)連絡があれば都度対応
日本コロムビア現時点での対応あり
日本ファルコムホームページより問い合わせ
日本マイクロソフト許容していない利用規約に記載あり
任天堂(2018年6月時点)タイトルごとに要問い合わせ
バオンディービー許容していない利用規約に記載あり
ハピネット許容していないホームページに記載あり
ハムスター許容している非営利で一般の方なら問題なし
ハル研究所許容していないよくある質問で記載あり
バンダイナムコエンターテインメント許容していないホームページに記載あり
バーグサラ・ライトウェイトタイトルおよび用途ごとに要問い合せ
ヒューネックス許容していないタイトルごとに要問い合わせ
フリュー回答不可
プロトタイプ許容していない

【企画・開発などのデベロッパー】 ⇒ 著作権を譲渡している場合が多いです。

1-UPスタジオ、epics、SRD、アクリア、アトラス、アポロソフト、アリカ、アルテピアッツァ、イートレックジャパン、株式会社インディーズゼロ、インティ・クリエイツ、インテリジェントシステムズ、ウィッチクラフト、ヴィティ、ウィル、エイティング、エインシャント、エヌディキューブ、エム・ティ・オー、オーツー、大宮ソフト、音楽館、ガイズウェア、ガルチ、河本産業(nn-system)、ガンバリオン、キャトルコール、キャメロット、キューエンタテイメント、キュー・ゲームス、グッド・フィール、グラスホッパー・マニフェクチュア、クラップハンズ、クリーチャーズ、クレアテック、グレッゾ、クロン、ケーツー、ゲームアーツ、ゲームスタジオ、元気、娯匠、サクセス、サンタエンタテイメント、サンドロット、ジニアス・ソノリティ、シムス、ジュピター、シリコンスタジオ、シルバースタージャパン、シンク・アンド・フィール、シンソフィア、スカラベスタジオ、スキップ、スタジオ新、スタジオフェイク、スマイルブーム、ソニックパワード、タムソフト、ツェナリーワークス、ディンプス、デジフロイド、テンキー、トイロジック、トムクリエイト、トライクレッシュンド、ドラス、ナウプロダクション、ナツメアタリ、七音社、ハイド、バンダイナムコスタジオ、ハ・ン・ド、バンプール、ビサイド、フライハイワークス、プラチナゲームズ、ブロッコリー

【電話番号不明・非掲載などでホームページ以外の連絡先が見当たらない企業】

comeept、FELISTLLA、Megg、アーゼスト、アイイーインスティチュート、アクアプラス、アクワイア、アルカディア・プロジェクト、アルヴィオン、イエティ、、ヴァニラウェア、エムツー、カルチャープレーンエクセル、クラフト&マイスター、グランディング、甲南電機製作所、コーエーテクモゲームス、コジマプロダクション、ゴッチテクノロジー、コンバイル丸、さざなみ、シフト、ズーム、スティング、タスケ、トライアングル・サービス、ドリームファクトリートレジャー、ヌードメーカー、ノイズ、ブリッジ