遺言書はどのように書けばいい?自筆証書遺言の要件と書き方について解説します

1 遺言書について知っておくべきこと

(1)はじめに

「そろそろ自分が死んだ後のことを考えて、遺言書でも書こうかな。」

「遺言書を書きたいけど書き方がわからない。」

そんなことを考えていらっしゃるあなたのために、今回は遺言書の書き方と書く際の注意点をまとめておきます。

(2)遺言書作成の注意点

実は、遺言書はきっちりと形式を守らないとすぐに無効になってしまいます。せっかく書いた遺言書が形式の不備で無効とされてしまっては悲しいですよね。そのため、遺言が有効とされるための要件を知って、法律的に正しい遺言書を作成しましょう

ところで、遺言と言っても、法律上は、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言とあとは緊急の場合のいくつかの遺言の方法が定められています。ここでは、自分ひとりで作成できる自筆証書遺言について解説していきますね。

2 自筆証書遺言の記入例

小難しい話をする前に、まずは、自筆証書遺言のサンプルを見てみましょう。

 


遺言書

遺言者田中T助は、以下の通り遺言する。

1 遺言者は、現金1000万円を、遺言者の子である田中Y男(昭和〇年〇月〇日生まれ)に相続させる。

2 遺言者は、遺言者所有の下記不動産につき、遺言者の妻である田中Y子(昭和〇年〇月〇日生まれ)に相続させる。

所在 大阪府〇〇区〇〇町〇丁目
地番 〇番〇号
地目 宅地
地積 〇〇.〇〇㎡

所在 大阪府〇〇区〇〇町〇丁目
家屋番号 〇番〇号
種類 居宅
構造 木造ストレート茸2階建
床面積 1階 〇〇.〇〇㎡
2階 〇〇.〇〇㎡

3 本書面に記載のない財産については、遺言者は、遺言者の子である田中Y男(昭和〇年〇月〇日生まれ)に相続させる。

令和〇年〇月〇日

住所 大阪府〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

遺言者 田中T助


 

不動産の部分については登記簿を確認しながら、財産の部分についてはお持ちの財産に合わせて変更をしてくださいね。

3 自筆証書遺言の要件

さて、ここからは小難しい話になります。小難しいのですが、遺言が有効になるか無効になるかはここで記載することを守れるかどうかで変わりますので、最後まで読んでくださいね。

(1)自書の要件

まず、一番大事なルールを確認しましょう。

民法第968条1項 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

このうち、「自書」しなければならないということが重要です。つまり、遺言書の内容については、原則として、すべてを自分で手書きしなければなりません。パソコンなどで文字を打ち込んだものでは無効となってしまいます。そして、「押印」が必要です。

ただし、財産が多い人の場合、財産を書き記すだけでも大変です。そこで、このようなルールもあります。

民法第968条2項 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

つまり、財産目録については手書きせずにパソコンなどで作成することができるのです。たとえば、上記の遺言書サンプルの財産を目録にするならばこうなります。

 


別紙目録

第1 不動産

所在 大阪府〇〇区〇〇町〇丁目
地番 〇番〇号
地目 宅地
地積 〇〇.〇〇㎡

所在 大阪府〇〇区〇〇町〇丁目
家屋番号 〇番〇号
種類 居宅
構造 木造ストレート茸2階建
床面積 1階 〇〇.〇〇㎡
2階 〇〇.〇〇㎡

第2 預貯金

〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号9999999


 

そして、たとえば、「遺言者は、遺言者所有の下記不動産につき、遺言者の妻である田中Y子(昭和〇年〇月〇日生まれ)に相続させる。の部分を「遺言者は、別紙目録第1記載の不動産を、遺言者の妻である田中Y子(昭和〇年〇月〇日生まれ)に相続させる。」というように変更し、同じように「現金1000万円」を「別紙目録第2記載の預貯金」に変更すれば、財産目録をつけた自筆証書遺言ができます。

(2)加筆修正の際の注意点

遺言を加筆修正する際にも注意が必要です。次のルールを確認してください。

民法968条3項 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
つまり、加筆修正をする際には、たとえば、二重線を引いて押印をし、そのすぐ上に修正後の文字を書いて、さらに余白部分に「本遺言書第3行目『田代』を『田中』に訂正した。」などと記載し、なおかつその記載部分に署名をしなければならないのです。二重線を引いて修正後の文字を書くだけではダメです。
このように、遺言書の訂正はかなり面倒になるので、修正が必要になった場合には、別の用紙に最初から記載するほうがより確実だといえるでしょう。

(3)その他の注意点

遺言を書くには、遺言者に遺言能力がなくてはならないとされています(民法963条)。15歳以上で、普通の判断能力があれば遺言能力があるとされます。

また、共同遺言はできません(民法975条)。共同遺言とは、2人以上の者が同一の証書で遺言をすることです。遺言は一人につき1通作成するようにしましょう。

 

kubota
遺言については守らなければいけないルールがたくさんあるので、作成を弁護士に依頼してしまうのもひとつの手です。どの種類の遺言があっているのかを含めて相談できますので、弁護士に相談することも検討してみてくださいね。