神戸市立東須磨小学校の教員のいじめ行為は法律的にどうなる?弁護士が解説します

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1 なにがあったのか

兵庫県神戸市須磨区にある神戸市立東須磨小学校の20代の男性教員(以下、「被害教員」といいます。)が、30代から40代の男性教員3人と女性教員1人からいじめ行為を受けていたというニュースが報道されました。

いじめ行為の内容は、以下のようなものでした。

・被害教員の尻をコピー用紙の芯でたたき、「ボケ」「カス」などと発言
・いじめをした女性教員とは別の女性教員にLINEでわいせつなメッセージを送信することを強要
・被害教員の車の上に乗る
・被害教員の車の中でわざと飲み物をこぼす
・羽交い絞めにされる
・激辛カレーを無理やり食べさせられる
・激辛カレーを目にこすりつけられる

学校側は、2019年6月に被害教員とは別の複数の教員からの相談でいじめ行為を把握しました。しかし、市の教育委員会に対し「教員間でトラブルがあったが解決した」と報告をしました。その後、市の教育委員会は被害教員の家族からの訴えで詳しい情報を得ました。

いじめを受けた男性教員は、現在体調を崩して休職しているとのことです。

2 法律的にはどうなる?

(1)単なる「いじめ」ではない

上記のいじめ行為の中でも、尻をコピー用紙の芯で叩く行為や羽交い絞め行為や激辛カレーを目にこすりつける行為は暴行罪(刑法208条)にあたる犯罪行為ですし、わいせつなメッセージを送ることを強要した行為は強要罪(刑法223条1項)が成立する疑いが強いです。また、被害教員の車の中でわざと飲み物をこぼす行為は、車が使えなくなるようなひどい態様なら器物損壊罪(刑法261条)の成立可能性が出てきますし、そうでなくても不法行為(民法709条)にあたる違法行為です。

(2)加害者と法律

以上のように、今回の件を単なる「いじめ」で終わらせることはできません。被害教員はいじめをした教員らに対して法律上なにができるのでしょうか。

まず、1つ目は、被害届の提出や告訴です。今回の件の中には犯罪行為も含まれているので、犯罪被害を受けたとして、警察署や検察庁に被害届を出したり告訴をすることで、捜査を進めてもらいます。ニュースとして大きく取り上げられている事件なので、被害届の提出や告訴がなくても捜査が進む可能性はありますが、被害届の提出や告訴があったほうが捜査が進む可能性があがります。

2つ目は、民事訴訟です。今回の件は民法709条の不法行為にあたるので、被害教員はいじめをした教員らに対して損害賠償請求をすることができます。ただし、民事訴訟で重要となるのは、どれだけ証拠集めをすることができるかという点で、今回の件でいえば、録音データなどがあればよいのですが、なければ証人を確保することが大事になります。

これは被害教員がするわけではありませんが、いじめをした教員は、調査の結果次第で懲戒処分を受けることになります。暴行罪などの比較的軽微な非行の場合、数カ月間給料を下げる減給処分や注意をする戒告処分となるのが一般的ですが、今回の件が社会や学校や児童に与える悪影響の度合いを考慮して、職を失わせる免職処分や一定期間職務ができなくなる停職処分が選ばれる可能性もあります

(3)学校と法律

いじめ行為を把握した際に、本当は解決していないにもかかわらず、「教員間でトラブルがあったが解決した」との報告をした学校に法的な責任はあるのでしょうか。

これは、学校側がどのように認識していたのかといった点や、いじめ行為についての学校側の調査・監視内容などにもよるので現時点で回答を出すことは難しいです。本当は解決をしていないという認識であったとか、いじめ行為についての学校側の調査が甘かったなどの事情があれば、学校にも法的責任が認められる可能性があります。

3 いじめと法律について

学校は、児童のいじめについての対策をする義務を負いますし、教員は、児童のいじめをなくすために努めるべき立場にあります。そうであるにもかかわらず、このような犯罪を伴ういじめ行為を教員間でおこなっているというのは、あってはならないことです。少なくともいじめ行為をした教員らに教わりたくはありませんね。

なお、いじめと法律については以下の記事で詳しく解説をしていますので、是非以下の記事もご参照ください。

いじめって犯罪? いじめ防止対策推進法などいじめに関連する法律を弁護士が詳しく解説します