短答式試験対策の4つのコツ

はじめに

みなさんご存知の通り、予備試験や司法試験には短答式試験があります。この記事を最後まで読むことで、自分に合った短答式試験の対策を選ぶことができるようになるはずです。

私は暗記が苦手で、他の受験生よりも勉強時間が短く、短答式試験を確実に突破することは大きな課題のひとつでした。この課題を乗り越えるため、短答式試験についてはさまざまな工夫をしました。後にも記載していますが何度か挫折をしました。みなさんにはそんな遠回りをしてほしくないので、この記事を参考に最短ルートで短答式試験対策を進めていただければと思います。

結論的には、以下の4つのコツがあります。

  1. 明確な数値目標を定める
  2. やることを絞る
  3. 自分に合った教材を用いる
  4. できるだけ早めに取り組む

勘のいい方は気づいたかもしれませんが、それぞれ①目標、②勉強内容・③教材・④開始時期に関するコツとなっています。この記事では、上記短答式試験の4つのコツについて解説します。

1 明確な数値目標を定める

前提として、短答式試験は論文式試験に比べて実力が測りやすいです。なぜなら、正解・不正解がはっきり出るので、それを集計して数値化することができるからです。この特徴を活用し、短答式試験の目標は達成したかどうかを明確に判断できる形で立てるのがおすすめです。

たとえば、「勉強を頑張る」という目標を立てたとしましょう。この場合、頑張ったかどうかの判断は誰がどのようにするのでしょうか。また、勉強を頑張ったことがどれだけ合格に結びつくかが明らかではありません。そうではなくて、たとえば、「過去問の肢単位で9割正解できるようになる」という目標を立てます。そうすると、達成したかどうかの判断ができますし、合格に向けて取り組むことができます。

ちなみに、過去問の肢単位で9割正解できるようになると、本試験ではおおよそ8割程度正解することができるようになります。つまり、短答式試験の足切り点を余裕をもって超えることができるようになります。ですので、特に目標を定めていない人は、肢単位で理由も含めて9割正解を目指すとよいのではないかと思います。

2 やることを絞る

短答式試験で問われるのは、基本的には条文知識・判例知識の2つです。これらの知識がそのまま問われることもあれば、これらの知識を使いこなせるかどうかを問われることもあります。

条文知識を使いこなすためには、典型例を押さえることが重要です。なぜなら、典型例を知らなければ、問われている事実が要件にあてはまるかどうかを自分のセンスに頼って判断することになりますが、典型例を知っていれば、典型例から近いか遠いかで判断することが可能になるからです。また、判例知識を使いこなすためには、判例の事案を知っておくことが重要となります。判例の事案を知らないと、その判例が何についての判例なのかがわかりません。そうすると判例問題を解くのが難しくなります。

もちろん、法律に関係することを一切合切勉強することができるのであれば、それをしても構いません。しかし、受験は常に時間との勝負です。自分の可処分時間を効率的に使うことが必要です。そんなわけで、やることを絞る、つまり条文と典型例、判例と事案に絞って習得していくことを強くおすすめします。

そして、条文や判例全てというのも分量が多すぎて手が回らないと思うので、とりあえず過去問で問われたものに絞って条文・判例知識を身に着けていくべきです。

なお、僕は、判例学習と論文対策とを兼ねることができる講座を提供しています。判例百選掲載判例を短文事例問題化した上で、判例ベースの答案を付けているので、効率よく学習を進めていくことができます。興味のある人は以下の記事をご参照ください。

久保田メソッド論文講座【アウトプットの決定版】

3 自分に合った教材を用いる

目標は過去問9割正解だとしても、それを達成する手段はたくさんあります。たくさんある中から選ばないといけません。短答過去問の教材だけでみても、年度別・体系別・肢別などいろんな種類があります。短答式試験の対策は根気よく行う必要があるので、自分に合った教材を用いることが大事です。自分に合った教材とは、自分の性格や置かれている状況に合った教材です。

まず、もう試験本番まで時間がないのであれば解く問題を厳選する必要があります。その場合には、過去問全てが載っている問題集ではなく、受験生の正答率の高い問題のみが集められた問題集を活用するべきです。体系別で厳選された問題集がいくつかありますのでAmazonなどで探してみてください。

次に、試験本番まで時間があるのであれば、司法試験であれば10年分、予備試験であれば全ての過去問を解いておきたいです。集中して根気よく取り組める人なら肢別本や体系別をおすすめします。肢別本と体系別でどちらがいいかについては中古の本を買うなどして試してみるべきです。他方で、試験本番まで時間があるとしても、他の受験生と比べて勉強量があまり確保できない人は年度別がおすすめです。なぜなら、1回あたりの問題数を抑えられるので復習がしやすいからです。

4 できるだけ早めに取り組む

これは意外かもしれませんが、短答式試験の実力は一度大きく引き上げておくとあまり落ちません。早めに合格レベルに達しておくことで、精神的に余裕をもって論文対策に打ち込めます

これに対して、直前に詰め込んだ方が効率的だという意見もあります。確かに、直前期の自分に期待ができるなら、直前に詰め込むという作戦も有効だと思います。しかし、これまでの人生を振り返ってみて、追い込まれた自分がどのような行動をとっていたかを振り返ってみてください。そのうえで、直前期の自分にどれだけの期待を寄せていいのかを慎重に判断してほしいです。

僕は、司法試験の受験生時代、直前期の自分には全く期待ができませんでした。それはロー入試の直前期の勉強が捗らなかったからです。ロー入試はそれまでの勉強の貯蓄で結果的には合格できましたが、直前期の勉強の合格への寄与率はかなり低かったと分析しています。こうした経験があったので、司法試験でも貯蓄で合格できるように早めに短答対策をはじめました。実際に本試験の1年前から短答対策をはじめたのです。

直前期に多少は詰め込み学習をするとしても、できるだけ早い段階から短答対策をはじめて、直前期の負担を下げておく方が戦略としては合理的と言えます。

 

kubota
いかがでしたでしょうか。これらのコツについて、「あたりまえ」だと思うことも多かったのではないでしょうか。短答式試験も論文式試験も、「あたりまえ」のことをあたりまえにできるようになれば合格できます。今回紹介した内容があなたにとって「あたりまえ」に落とし込めているのであれば、今のまま勉強を続ければいいですし、「あたりまえ」には至っていないのであれば、「あたりまえ」になるように修正をしつつ勉強を続ければいいだけです。何も難しいことはありません。自信をもって勉強を続けて、合格を勝ち取りましょう!