予備試験・司法試験に落ちた人は実務家としての素質がない?

はじめに

予備試験や司法試験に挑戦したけど、合格を勝ち取れない人がいます。不合格になると「実務家になっても素質がないから試験の挑戦を諦めたほうがいいのではないか」と不安になってしまうこともあるでしょう。しかし、本当にそうなのでしょうか。今回は、予備試験や司法試験の合否によって実務家としてのセンスを判断できるのかを検討してみます。

結論的には、予備試験や司法試験の合否は実務家としてのセンスに直結しないです。では、どういう検討によってその結論に達したのかを見ていきましょう。

1 予備試験・司法試験で求められる能力

予備試験や司法試験で求められるのは、いわゆるお受験的な能力です。つまり、制限時間内に問題を読み解き、解答をする能力です。これに対して、実務家として求められる能力は、どのような実務家を目指すかによって異なります。もちろん、一定期間内に仕事をやり遂げる能力も必要ですので、お受験的な能力が実務家にとって役立つことはあります。しかし、実務家においては、仕事を獲得する営業能力や、相談者や依頼者との信頼関係を構築・維持するためのコミュニケーション能力、相手方との話をまとめるための交渉能力、事務所を拡大していくためのリーダーシップ能力など、お受験的な能力以外のさまざまな能力が必要とされるのです。特に、将来的に独立を考えている人は、営業能力がかなり重要になります。なぜなら、どんなに優れていても仕事がなければそれを発揮する場がないからです。

2 もし予備試験・司法試験が実務家の素質に影響する世界なら

もし予備試験・司法試験が実務家のセンスに影響するのだとしたら、これらの試験の上位合格者は実務家として素晴らしい結果を出していないとおかしいということになります。しかし、実際にはそのような話を聞きません。むしろ、予備試験や司法試験の順位と実務家になってからの活躍度合いは関係ないとの話を聞くことが多いです。予備試験や司法試験でどれだけ高い順位で合格できても、結局これらの試験では問われていない能力(営業能力・コミュニケーション能力・交渉能力・リーダーシップ能力など)が伴わなければ実務家としての活躍は難しいのです。

3 試験に落ちた場合にすべきこと

ここまで見てきた内容からすると、予備試験や司法試験で落ちても実務家としての素質がないことを意味しないと言えるでしょう。とはいえ、予備試験や司法試験で不合格になるということは、法曹として求められる法律の素養を備えていないと判断されたことになります。そのため、しっかりと敗因分析をし、自分に何が足りていないのかを把握し、それを補う必要があります。敗因分析は自分だけで行うのではなく、合格者にも手伝ってもらうようにしてください。

予備試験・司法試験の合否は実務家としての素質に直結しませんが、とはいえ、これらの試験に合格しないと実務家になれません。自分の現状を把握し、それを補う必要性は試験であろうが実務であろうが異なりません。どうせなら、試験への再挑戦を貴重な成長の場として捉えて、実務家になってからも必要な自己分析・問題解決のトレーニングをしていただければと思います。


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