最も信頼できる基本書は?【憲法編】

はじめに

予備試験や司法試験の勉強をしているとどうしてもわからないところがが出てきてしまいます。そんな参照したいのは詳細に書かれた信頼のおける基本書です。信頼のおける基本書を読めば、おおよその疑問は解決できますし、たとえ疑問を解決できなかったとしても何かしらのヒントを得られることが多いです。また、信頼のおける基本書に書かれていないような疑問については、とりあえずわからないまま進めてよいという目安として使用することもできます。

そのため、詳細に書かれた信頼のおける基本書については座右に置いておきたいところです。ところが、たくさんの基本書の中から信頼のおける基本書を選ぶのは難しいことですし、それに時間をかけるのももったいないです。そこで、私が最も信頼している基本書とその他の信頼できる本を紹介しますので、参考にしていただければと思います。

1 最も信頼している基本書

私が最も信頼している憲法の基本書は以下の通りです。

  • 憲法Ⅰ 第5版(有斐閣) 野中 俊彦 、中村 睦男、高橋 和之、高見 勝利
  • 憲法Ⅱ 第5版(有斐閣) 野中 俊彦 、中村 睦男、高橋 和之、高見 勝利


この本は、憲法の基本書の中で最も詳しいと言える本です。この本を一言で表すとすれば「網羅的である」ことに尽きます。この本に書かれていないことを調べようと思ったら論文を当たるほかありません。疑問点があれば是非参照すべき基本書です。ただし、2012年以降改訂されておらず、それ以降の判例・学説については反映されていない点には注意が必要です。私は、改訂されていない点を踏まえてもなお現時点で最も信頼できる基本書であると確信しています。

2 その他信頼できる本

(1)判例の整理に

  • 憲法Ⅰ 基本権(有斐閣) 渡辺康行、宍戸常寿、松本和彦、工藤達朗
  • 憲法Ⅱ 総論・統治(有斐閣) 渡辺康行、宍戸常寿、松本和彦、工藤達朗


この本は、判例の整理が詳細かつ秀逸です。そのため、判例の位置づけ及び判例法理の到達点を知るためには最良の基本書と言えます。ただし、従来からの議論については記載が薄い部分も多いので、従来からの議論を知るためにこの本使うことはおすすめできません。あくまで、判例の概要や位置づけを知るために使うようにしましょう。

(2)各論点について深堀りしたいなら

  • 憲法論点教室 第2版(有斐閣) 曽我部真裕、赤坂幸一、新井誠、尾形健

この本は学習上疑問を抱きやすい論点を深堀りして解説しています。そのため、この本は基本書のいわゆる行間を埋めてくれる役割を果たしてくれます。論点ごとに記述されているので、論点を調べるにあたって非常に便利な本です。一方で、この本は憲法を網羅的に解説するような本ではありませんので、その点はご注意ください。

(3)論点やその背景事情を知りたいなら

  • 憲法学Ⅰ 憲法総論(有斐閣) 芦部信喜
  • 憲法学Ⅱ 人権総論(有斐閣) 芦部信喜
  • 憲法学Ⅲ  人権各論⑴  増補版(有斐閣) 芦部信喜

この本は人権分野につきかなり詳しく記述しています。私は、制度的保障や権力分立などの抽象的な概念について調べる際によく使用しています。また、どういう場合に違憲審査基準を厳しくしたり緩やかにすべきかということについてもしっかり記載されています。ただし、かなり古いので近時の議論には対応していないことと、人権の経済的自由権までしかカバーしていないことが難点です。

(4)普段使いに

  • 憲法学読本 第3版(有斐閣) 安西 文雄、巻 美矢紀、宍戸 常寿

この本は、非常にコンパクトなのに意外と網羅性が高いので普段の学習用としておすすめしています。もっとも、政教分離の近時の判例の分析に関する記述など割と突っ込んだ記載もあります。

 

kubota
憲法の学習上生じた疑問は今回紹介した本にあたっても氷解するとまではいかないことが多いです。調べていても「どうも歯切れが悪いなぁ」と思うことも少なくありません。ひとまず、今回紹介した本にヒントすら書かれていない疑問についてはわからないまま進めていくほうが賢明です。このように、疑問点を解消すべきかどうかの基準としての今回紹介した本を使ってほしいです。

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