【法学入門】「及び」と「並びに」の違いと使われ方

1 はじめに

法律の条文を読み解くにあたっては、法律用語の意味や使われ方を知らなくてはなりません。法律用語の意味や使われ方を知らずに条文を読み解こうとすると、そもそも読み解くことができなかったり、間違った読み解きをしてしまうことになりかねません。

しかし、こうした法律用語の意味や使い方について教わる機会はそうそうありません。そこで、弁護士である私が、初学者向けに法律用語の意味と用法を解説していきますので、この機会にみなさんも法律の読み解きができるように法律用語を学びましょう!今回取り扱うのは「及び」と「並びに」です。

2 「及び」と「並びに」の意味

「及び」と「並びに」はどちらも英語でいう”and”の意味です。たとえば、以下の2つの文章をみてください。

  1. チョコレート及びアイスクリームはいずれも甘い。
  2. チョコレート並びにアイスクリームはいずれも甘い。

この2つの文章は、どちらも「チョコレート」と「アイスクリーム」が両方甘いことを意味しています。

実際に法律の条文も見てみましょう。

民法第86条1項 土地及びその定着物は、不動産とする。

この条文は、「土地」と「その定着物」が不動産であること表しています。図式的にいえばこうなります。

  • 不動産
    • 土地
    • その定着物

「不動産」というフォルダの中に、「土地」と「その定着物」が入っているイメージですね。ちなみに、「その定着物」という言葉が気になった方がいらっしゃるかもしれませんが、たとえば、建物などのことです。

このように、「及び」と「並びに」はどちらもいろんな事柄を並列させ、並列させたもののいずれにも該当すればその要件を満たすという使われ方がされます。とはいえ、「『及び』と『並びに』がどちらも用語として同じ意味なのだとしたら、どちらか1つだけでいいんじゃない?」と思うかもしれません。実は、そういうわけにもいかないのです。その理由は3でお話ししますね。

3 「及び」と「並びに」の違い

「及び」と「並びに」の違いは、その使い方にあります。「及び」と「並びに」に関して次の3つの約束事があります。

  1. 2つの内容を”and”でつなげる場合は「及び」を使います。
  2. 3つ以上の内容を並列的に並べる場合、読点「、」を使い、最後に「及び」を使います。
  3. 大きなグループとそれより小さなグループがある場合には、一番小さなグループ分けに「及び」を使用し、その他のグループ分けに「並びに」を使います。

①からみてみましょう、上でみた民法86条1項のように、単純に”and”の意味で使用する場合には、「及び」を使うのです。

②については、たとえば次の条文をみてください。

日本国憲法第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

この条文は、「生命」「自由」「幸福追求」を並列的に並べています。この場合には、最後の部分である「自由」と「幸福追求」との間に「及び」を使い、それ以外の「生命」と「自由」との間には読点を使っています。

さらに、③については、たとえば次の条文をみてください。

民法第974条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

この条文は、推定相続人と受遺者とを並列的に並べるとともに、これらの配偶者と直系血族を並列的に並べています。そして、推定相続人などと配偶者などをさらに大きなグループとして並列的に並べています。ちょっとわかりずらいと思いますが、図式的にいえば、こうなります。

  • 推定相続人などのグループ
    • 推定相続人
    • 受遺者
  • 配偶者などのグループ
    • これらの配偶者
    • 直系血族

大きなフォルダとして、推定相続人などのグループと配偶者などのグループがあり、その中に推定相続人や受遺者などの小さなフォルダが用意されているイメージです。

このように、小さなグループに「及び」を使い、大きなグループに「並びに」を使うのです。

kubota
「及び」と「並びに」との関係に近いものとして、「又は」と「若しくは」という用語もあるのでセットで覚えよう!